2018/11/30 町田徹のふかぼり! ラジオNIKKEI第1 を元に作成

点検! 2025年大阪万博




日本時間の土曜未明、パリで開かれたBIE(博覧会国際事務局)の総会で、2025年の大阪万博開催が決定しました。

2020年の東京オリンピック後の日本経済の成長の起爆剤に、と期待する声もあります。そこで今夜は、万博の計画が今どうなっているのか、成功の秘訣を含め、じっくりふかぼってみたいと思います。

 

万博とはどんなものなのか?


正式名称は国際博覧会。万国博覧会と呼ばれることもあり、略称は国際博、万博などさまざま。

国際博覧会とは、国際博覧会条約に基づき、複数の国が参加して開かれる博覧会。人類の進歩や将来のビジョンを示すのが目的とされています。万博を名乗るにはBIEの承認が必要です。

1851年に開催されたロンドン万博が最初で、25カ国が参加。産業革命の成果を世界に誇示しました。1889年のパリ万博は、エッフェル塔が建てられたことが有名ですよね。
日本の最初の参加は、1867年のパリ万博。徳川幕府と佐賀藩と薩摩藩が出展しました。

実は、日本は1890年(明治22年)と1940年(昭和16年)に自国開催を企画したのですが、実現せず、1970年の大阪万博が最初になりました。
大規模であり、6週間以上6ヶ月以内の長期開催が可能、かつ、総合的なテーマを扱う登録博覧会でした。以後、日本では1975年に沖縄海洋博、1985年につくば博、1990年に大阪園芸博、2005年に愛知県で愛・地球博が開催されてきた。が、これらは登録博の間に3週間以上3ヶ月以内の期間で一回の開催が認められる認定博覧会でした。


2025年の大阪万博の概要は?


開催期間は2025年5月3日から11月3日までの185日間。場所はあとで詳しく話しますが、大阪の夢洲(ゆめしま)。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」で、160カ国・地域・機関の参加と、2800万人の入場を見込んでいます。

入場者数については、競合するテーマパークが林立しているとかインターネットの普及で足を運んでもらうのが難しくなっていると言う人が多いんだけど、1970年の大阪万博は6421万人、2005年の愛知万博も2204万人動員していますから、その実績を勘案すれば、今回の2800万人も決して難しい数字ではないと思いますね。


大阪の誘致成功の要因は何だったのか?


大阪市には2008年のオリンピック招致で北京に惨敗したという苦い経験があるんですよ。その反省が勝因なんですけど、今回は早くから大阪府や国の協力を得ただけでなく、地元企業も一体感を持って誘致活動に役立てるため、地元の招致気運を盛り上げるよう努力してきたことが勝因だとされているんですね。

例えば、関西電力は6月上旬からテレビとラジオで大阪市北区の天神橋筋商店街や神戸ポートタワーで大勢の人が万博誘致の旗を振る場面などを撮影したCMを流しました。
それから、近畿日本鉄道や南海電気鉄道はロゴマーク入りの電車の運行で、利用客の万博招致機運を盛り上げました。


大阪への誘致の目的は何だったのか?


大阪は地盤沈下していると言われていますから、それに歯止めをかけるだけでなくて、バブル期の負の遺産と言われる夢洲を万博会場として開発して、鉄道など交通インフラの整備をやり、この地に建設予定のIR、カジノを含む統合型リゾートと併せて地域経済の活性化に役立てたい、という狙いがありますね。


夢洲(ゆめしま)がバブル期の負の遺産というのは?


夢洲(ゆめしま)はですね、咲洲(さきしま)、舞洲(まいしま)とともに大阪市が高度成長期以降に埋め立てた大阪の西に浮かぶ人工島なんですね。この3つは、夢・咲き・舞う、との期待を込めて命名されたんだけど、いずれも計画通りにいかなかった。
特に夢洲は、1990年代にニュータウン開発構想があったんですが、バブル経済の崩壊で頓挫。その後、2008年のオリンピック招致にも失敗して、再開発可能な選手村にする計画も日の目を見なかった、という歴史があるんですね。

夢洲は現在、コンテナ埠頭とメガソーラー発電所が立地するだけの辺鄙な島ですね。荒涼とした空き地や水たまりが広がっています。
夢洲のアクセス上のネックは、鉄道が通っていないこと。隣の人工島まで地下鉄で行って、バスに乗り換えることになります。で、地下鉄中央線を延伸して、そのアクセスを改善することが急務なんですね。この工事の費用の大阪市港湾局負担分のうち、200億円分をIR事業者に転嫁したい、というんだけど、これができるかどうかが大きなポイントですね。
将来的にJR桜島線を大阪駅からユニバーサルスタジオジャパンの最寄駅経由で夢洲に乗り入れできるかも重要。事業費は1700億円と巨額ですが、夢洲の利便性と魅力の工場には欠かせない。

で、この鉄道整備とは別に、会場建設費がおよそ1250億円と見込まれており、このうち3分の1は経済界の負担と決まっているんだけども、その分担を早急に決める必要もありますね。

さらに、BIEの総会で、世耕経済産業大臣が「万博に参加したい」という発展途上国向けに公約した240億円の資金提供も反故にできないんですよね。


万博の経済効果はどれぐらい見込めるのか?


りそな総合研究所が月曜日、大阪万博の経済波及効果が政府の試算より3000億円多い2兆2000億円になるという試算を発表しています。来場者2800万人のうち、外国人訪日客が300万人を占めるという想定なんですね。
だけど、僕思うんですが大阪って既に全国有数のインバウンドのメッカですから、上手くやればもっと地元経済を活性化できるかもしれないですよね。

あと、交通インフラの整備が進めば、海外での大阪の知名度・人気度の上昇につながり、万博閉会後も中長期的に経済成長を押し上げる効果が期待できますよね。

日本全体にとっても、2020年の東京オリンピックに続く巨大イベントだけに、オリンピック後の成長の起爆剤に育てたいところですよね。


開催に向けて今どんな準備が行われているのか?


安倍総理は月曜日午前の衆院予算委員会で「日本全体を元気にするような万博を実現するため、オールジャパンの体制で全力で取り組む」と強調しました。
それから、同じ月曜日ですけども、会場整備や計画の具体化を進めるため、国などが作る実行組織のトップに、経団連の中西宏明会長が就任する方向で調整が進んでいることも明らかになりました。

日本で開かれた過去5回の万博の運営組織のトップなんですが、1975年から76年にかけて開催された沖縄海洋博を除いて、すべて時の経団連会長が運営組織のトップを務めているんですよ。
2005年の愛知万博を思い出してほしいんですけど、主催団体が設立されて、当時トヨタ自動車会長の豊田経団連会長がそのトップに就任、陣頭指揮をとって「トヨタの面子は潰せないぞ」とやっていたところは、記憶に新しいと思うんですね。
そういう経緯があるので、中西会長も就任の打診があれば経団連トップとして前向きに応じる考えを示していると言われています。


万博開催に対してどう考えている?


予測の2倍を越す6400万人が訪れた1970年の大阪万博、これってやっぱり成功例だと思うんですね。
開催前に理念づくりや展示立案に作家の小松左京さんがいたり、仕掛け人の一人に元通産官僚の堺屋太一さんがいたり、そういう意味ではタレントが揃っていたというのはこの時なんですよ。
だけど、前例のない催しで利権もなかったんで、20代・30代の若者が活躍できたことが大きかったという指摘もあるので、今回も若者中心に頑張ってほしいなと。

で、僕が何よりもお願いしておきたいのはですね、説教くさいものはやめてくれと、楽しいものにしてほしいということですよね。
55年前の万博の時のテーマは「人類の進歩と調和」ですが、僕は小学校5年生で、アメリカ館の月の石や日立グループ館の飛行機のフライトシミュレーターにわくわくしながら動く歩道を走り回った覚えがあります。11回も万博に行ったというのを鮮明に覚えていますからね。

今回も楽しい万博づくりは可能なはずなので、子供だけではなく大人にも夢を与え、将来を考えるきっかけにしてほしいなと思います。




番組HP:http://www.radionikkei.jp/fukabori/