「そう。オスのライオンって、頭の周りにたてがみが生えてるでしょ? あれって自分の強さを誇示するためにあるらしいの。メスにアピールしたり、別のオスに対して牽制したりするのに使ってるわけ。人間のオスも同じなのよ。本人は気づいてないことが多いけど、大抵の男の人には『見えないたてがみ』が生えてるの」


直樹、慎一、幸太郎の三人が、それぞれ「男らしさ」的なものと自らのギャップに悩み、答えを見つけていくストーリー。

読んでいくとわかるけど、三人とも多分とても根が優しい人間で、真剣に自分と向き合っていて、だからこそ、それぞれの悩みに寄り添って話を追っていくことができる。 

専業主夫になるべきか悩む30歳出版社社員の直樹、離婚して孤独をもてあます35歳広告マンの慎一、そして、モテないアイドルオタクの25歳公務員の幸太郎。


とくに、幸太郎の悩みは自分にとってはいちだんと切実に感じられた。

向き合って本音を知って傷つくのが怖いから、相手に自分の理想を押し付けて、本当の姿を見ようとしていないのではなかろうか、という気づき。


三者三様の悩みだけれど、たどり着いたのはほとんど同じ一つの答えで、

それは、目の前の相手(パートナー)と、心を開いて、正面切って向き合うことだ。


結局、「らしさ」なんてものは自分の中だけで悶々と悩んでどうにかなるものではなくて、
ともに歩む相手にどれだけさらけ出せるかどうかで、克服できるものなのだろうと思う。


刺さるというより、じんわりと染み渡る一冊。

読んでよかった。




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作品紹介

「家事や育児が問題なくできたとしても、仕事が人並み以下だったら男としては二流のような気がしちゃうんです。そういうのってわかりますか?」専業主夫になるべきか悩む30歳出版社社員、直樹。離婚して孤独をもてあます35歳広告マン、慎一。モテないアイドルオタクの25歳公務員、幸太郎。いつのまにか「大人の男」になってしまった3人、弱音も吐けない日々に、モヤモヤは大きくなるばかり。幸せに生きるために、はたして男の「たてがみ」は必要か?